実写映画『君の膵臓をたべたい』の後半、志賀春樹(僕)は桜良へメールを送るシーンがあります。
春樹のメールの文章の意味についてまとめました。
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『君の膵臓を食べたい』メールの内容と意味
桜良が退院した日のメール
桜良の膵臓の病気はますます悪くなり、入院の日程も2週間延長、ようやく退院した日の場面にて。
桜良のことをカフェで待っていた春樹(僕)に、桜良からメールが届きます。
「退院した。私を褒めなさい」
春樹(僕)の返信メール
春樹(僕)は、桜良からの「褒めなさい」メールに一旦は
君の爪の垢を煎じて飲みたい
と打ち込みました。
しかし、これでは面白くない、と思い、消してしまいます。
そして
「君の膵臓を食べたい」
と書き直して返信したのです。
『君の膵臓を食べたい』メールの意味は?
春樹(僕)なりの最上級の「誉め言葉」
春樹(僕)のメールは桜良の
「私を褒めなさい」
に応えたものです。
その際に、誉め言葉とともに、春樹(僕)の本心が盛り込まれました。それが
「君の爪の垢を煎じて飲みたい」
です。
病気とともに自分の命・気持ちと向き合う前向きな桜良への憧れと尊敬です。
春樹(僕)にとっての「君の膵臓をたべたい」の意味
こちらの記事でも書いたのですが、春樹にとっての「君の膵臓をたべたい」は、まだ親しい関係でもなかった桜良におどけて言われた言葉でした。
もともとは春樹(僕)自身から発せられた言葉ではありません。
「君の爪の垢を煎じて飲みたい」
(相手の体の一部を取り込むと相手の良いところが自分の一部になる、憧れの意味)
という最上級の誉め言葉と自分なりの本音・気持ちの伝え方では「面白くない」=桜良に伝え足りないを感じたうえで
「君の膵臓を食べたい」
と打ち直した、言い換えました。
春樹(僕)の中では、桜良に言われた「君の膵臓を食べたい」(健康な臓器を食べると自分も同じ臓器が健康になるという昔の迷信)をそのまま返すことで、別な意味を持たせたユーモアある返しと考えたのだと思います。
ただ、他の思いや気づきもあったのでは?と個人的には思えて仕方がありません。
メールの意味:桜良も春樹(僕)に憧れていたことへの気づき
桜良の遺書にも
死ぬ前に君の爪の垢を煎じて飲みたいな
でもやっぱり
君の膵臓を食べたい
と書かれていました。
実ははじめに桜良が言った「君の膵臓を食べたい」にも「爪の垢を煎じて飲みたい」といった憧れの意味が暗に含まれていたことを、春樹(僕)も気づいたのではないでしょうか?
はじめにおどけて冗談のように言った「君の膵臓を食べたい」。
おどけて言うのであれば、桜良の説明の通り「健康な臓器を食べると、自分の臓器が健康になる」といった迷信の意味であれば、冗談だからこそ「君の膵臓を食べさせて」でも良かったわけです。しかし「君の膵臓を食べたい」という言い方にとどまっているのは「爪の垢を煎じて飲みたい」の慣用句(ことわざ)にかけていた部分があったのかもしれません。
メールの意味:君を命ごと受け入れたい
「君の膵臓をたべたい」は「生きたい」の代名詞でもあります。
そして「健康な臓器を食べると、自分の同じ臓器が健康になる」のであれば「病気の臓器を食べると、自分の同じ臓器が病気になる」とも考えられます。
身代わりになりたい、という願望が全くなかったわけではないとは思いますが…
「病気の臓器を食べたい」と思えるほど、桜良の命・人間性を受け入れている表れだったと思います。
他人に全く興味を示さなかった春樹(僕)が、他人だった桜良を自ら受け入れたいと思えたからこそ、桜良の言葉をそのまま取り入れて「誉め言葉」としてメール返信の言葉へとしたのかもしれません。